ジーニーのナンパ日記

~ドラマチックな毎日を~

夏の思い出~花火と火遊び~

------------------------------------ 

「女の唇はキスするためにある、男の唇はキスした後に口笛を吹くためだよ」

-セカイノオザワ-

------------------------------------

 

 

 

 

『寂しい花火になると思ったけど楽しい花火ができてよかったよ』

 

 

 

「ほんまかな笑」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月某日

 

 

 

小学生達が宿題を必死になってやっている

 

 

もう夏も終わりか・・・

 

 

 

 

 

 

その日の夜は珍しくアイスを食べながら家でテレビを見てゆっくりしていた。

 

 

 

 

なんか夏らしいこと最後にしたいな。

 

 

 

 

 

ふと目をやると、夏の始まりに買った花火セット。

 

 

いつかやるかな?と思って買ってはみたものの

 

 

やることもなく夏を終えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

よし!今から花火しに行くか!

 

 

ジーニーはふとおもしろいことを思いつくと

 

後先考えずやっちゃうことがしばしばある。

 

 

 

 

一人で花火するのもなんだから、街で声掛けよ。

 

 

そんな気持ちで、バケツと水とチャッカマンを用意してチャリンコに跨った。

 

 

 

 

 

 

ジーニーの街には大きな川が流れている。

 

 

河川敷では野球ができるほど広く

 

夜には人目につかないし、花火している人もよく見る。

 

自転車でも15分くらいなので、河川敷に向かう途中でナンパすることにした。

 

 

 

 

 

しかし時間は22時過ぎ、しかも平日、河川敷の近くになるにつれて人がいない。

 

 

街灯もないから薄暗い。こんなところで声かけられたらおれでもビビるぞ。

 

 

 

 

『すいません、一人で花火しようと思って来たんですけど河川敷ってどっちですか?』

 

 

 

『一人で花火しに来たんですけど、いざやるとなると一人って寂しくなってきて、一緒にやりませんか?』

 

 

 

 

ことごとくガンシカ、逃げられる。

 

 

 

 

 

くそ、一人で花火しに来たっていう面白いやつがいるのになんでガンシカやねん!

 

 

 

客観的にみるとおかしいやつなのか?

 

 

 

 

いやおれだったら面白がって男でも一緒に花火してあげるのに!

 

 

花火って非日常は確実にヒットする。

 

 

 

一緒に花火してくれる子なんて絶対いい子にきまってる!

 

 

 

よしマインドセットはOK

 

 

 

あとはその子を見つけるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

2時間ほど河川敷を彷徨った頃。

 

 

自転車でも渡るのに2,3分かかる大きな橋を3往復くらいしていた。

 

もうそろそろ潮時かな。

 

帰ろうかと思ったその時だった。

 

 

 

自転車を押しながら携帯を触っているスレンダーな女性、若い。

 

 

 

 

『すいません、一人で花火しようと思って来たんですけど一人でするのもどうかなって。。。よかったら一緒に花火しません?』

 

 

 

 

「わ、びっくりした、え、、花火?」

 

 

 

 

 

 

オープンは上々、だが明らかに警戒している。

 

そりゃそうだ深夜で暗がり人気がない。

 

こわもてフェイスのジーニーは確実にこわい。

 

自己開示とユーモアで。

 

 

 

 

 

『いやね、さっきまで家でテレビ見てたんやけど、夏終わるな~って思ったら、急に花火したくなって。ほらこれバケツ、消火用の水も持ってきてるんよ笑』

 

 

 

「ほんまや、うけるw」

 

 

 

 

『装備は完璧やから!誰か一緒に花火してくれへんかなと思ったんやけどだれもおらんくて、おとなしく帰るところやったんよ、ちなみに今年は花火しました?』

 

 

 

 

「いや、してないけど、、、え、ほんまに一人で花火しに来たんですか?」

 

 

 

 

『ほんまほんま、家ここからすぐやねん、夏も終わるし、最後の思い出作らへん?笑』

 

 

 

 

「いや、思い出とかは別にいいんですけど。。」

 

 

 

 

これは押したら行けると判断。

 

 

 

 

『いやこんなおもろいやつになかなか出くわさんで?むしろラッキーやで!もう時間も時間やし、あんまり花火の量もないからたぶん30分くらいで終わるし』

 

 

 

 

「う~ん、30分だけなら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河川敷連れ出し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が強い。

 

 

河川敷ってめっちゃ風強いねんな。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

『よし、じゃあ花火を両手に持って回って』

 

 

 

 

「こう?」

 

 

 

『そうそう、おてんば少女みたいに無邪気に』

 

 

 

「なにそれ笑」

 

 

 

 

『すごい楽しそうやで』

 

 

 

 

 

 

都会の騒音から離れ、周りには誰もいない空間。

 

 

 

線香花火をやり終え、コンクリートの地面に横になり目をつむる。

 

 

 

ああ、すごくいいこの感じ。

 

 

みんなは家でゆっくりしてるのに

 

 

 

砂漠のオアシスみたいな感じで別空間にいるみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジーニーは非日常が好きだ。

 

 

ナンパ自体いままでの自分にとっては非日常なことだが

 

 

今日は声をかけた彼女と花火を楽しんでいる。

 

 

 

お祭りなんかも多いし夏が好きな理由はそこなんだろう。

 

 

夏っていいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、訂正

 

 

 

汗かきなジーニーは夏は1日3,4回風呂に入る。

 

 

バスタオルの数が追い付かない。

 

 

暑いの以外は夏が好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

気づいたら5分くらい一人で物思いにふけっていた。

 

ふと横を見ると彼女はとなりで川の対岸を眺めていた。

 

 

 

 

スレンダーな彼女の三角座り、かわいいな。

 

 

 

遠くを見つめる姿と相まって、すごく魅力的に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか久しぶりにはしゃいだ気がする」

 

 

普段しないトピック的なできごとを楽しみ

少しずつ彼女も素がでてきたようだった。

 

 

「最近いろいろ悩んでるんだ。」

 

 

 

田舎から出てきた彼女は人懐っこく、気配りのできる女性だった。

 

仕事の休みもなく、辞めようか考えているところだった。

 

 

 

そこからしばらくいろんな話をした。

 

 

 

 

ジーニーの仕事の話や、趣味の話。

この街に来た頃の話。

 

 

彼女の職場は女性が多く、年上の男性の話を聞く機会はあまりないようで

 

うんうんと熱心に聞いてくれた。

 

 

 

 

30分はとっくに過ぎていた。

 

 

 

 

 

自由奔放の性格で、たまに話を聞いていない。

 

そんな猫っぽい性格も素敵だなと思った。

 

 

 「めっちゃ楽しかった。声かけてくれてありがとね!」

 

『こちらこそ、時間平気?のど乾いたしコンビニ行こっか』

 

 「うん」

 

 

 

 

近くのコンビニで飲み物を買い、人気のない公園へ。

 

 

 

 

 

 

 

『結構時間経っちゃったね』

 

 

「うん、でもめっちゃ楽しかった」

 

 

『ちょっと花火して帰るつもりやったんやけどな』

 

 

「てかほんまに一人でしにきたん?」

 

 

『そう、でもそのおかげでこうやって出会えたんやで』

 

 

「何言うてん笑」

 

 

『でもなんか素敵やない?あそこで出会うん奇跡やで』

 

 

「まあ確かに、あの後家に帰るだけと思ってたし」

 

 

『まあ、素敵な人やなと思ったから声掛けたんやけどな』

 

 

「絶対うそ笑」

 

 

『ほんまやて、全然人おらんかったけど何人か声かけずにスルーしたしな笑、夏も終わりやから神様のご褒美やな』

 

 

「ご褒美て笑」

 

 

『でもこういう出会いってドラマチックやろ?』

 

 

「確かに、あんまりない、意外にロマンチストよね」

 

 

『ドラマチックなん好きやねん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのままキス。

 

 

 

 

 

 

「ここじゃいや。」

 

 

 

 

 

 

へいへい。

 

 

 

 

 

 

 

そのまま二人ちゃりんこ並走して家in

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スレンダーな彼女は綺麗だった。

気まぐれなところは変わらずもてあそばれたりもした。

 

 

 

 

 

『寂しい花火になると思ったけど楽しい花火ができてよかったよ』

 

 

「ほんまかな笑」

 

 

 

 

 

 

いろいろ聞くと慣れ過ぎているだの、チャラかっただの

 

よく声かけているんだろうなと思っていたらしい。

 

 

 

思ったが、花火ってところがヒットしていたらしい。

 

 

 

 

 

花火っていいね、夏しかできないし、楽しさと儚さがある。

 

花火と火遊び、夏の思い出。

 

 

 

思い立って行動してよかったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ま、花火持って出撃したのは4回目だけどね。笑

 

 

 

ドラマチックな毎日を。